ドライウォールとは
ドライウォール工法とは、内装壁や天井に石膏テーパーボードを貼り、ボードの継目にジョイントテーピング及びパテ処理を施し、強くて気密性の高い大壁を作る工法です。
ペイントしている壁のことではありません。
北米で生まれた石膏ボードのジョイント処理の工法です。
根本的に日本のクロス下地やペイント下地、左官下地とは違うのです。
ボードが違う
ドライウォールで使用する石膏ボードは、側面形状が通常のベベルエッジ(Vカット)ではなく、テーパーエッジ(4~8センチ巾でテーパーにカット)のボードを使います。
大きさも出来るだけ大きな大板サイズを使用します。
輸入住宅や2X4に多いインチモジュール(スタッドの間隔が407)では、通常4フィートX8フィートのテーパーボードを使用します。(日本では巾4フィートは、このワンサイズしかない)
アメリカでは4×8 4×10 4×12 4×14などのビッグサイズがあります。
在来工法の尺モジュール(柱の間隔が455)では、3×8 3×9 3×10などのボードを使います。
貼り方が違う(重要)
通常のクロス下地では、開口部のことをあまり考えず、端から下から順番に貼って行きます。
ドライウォール工法では、この開口部とジョイント部の考え方が違うのです。
北米では横貼りがポピュラーです。
天井も壁も千鳥貼り(レンガ貼り)にします。ジョイント部は常に十字ではなくT字になるようにするわけです。
これでバットジョイント(切り口同士のジョイント)のクラックの走りを絶ちます。
壁は上から貼っていき、下のボードを貼るときにリフターを使って床より少し浮かせて貼ります。
ボードの割付は端からではなく開口から考えていきます。(開口横にジョイントを作らないため)
開口部は先に切り込むのではなく、貼ってからルーターで切り抜きます。
ルーターを使う事によってかなり複雑な開口部もジョイントなしで貼れます。
ボードの固定にはドライウォール用のスクリュービスを使用します。
日本では縦貼りが多いです。
尺モジュールの場合ボードのサイズを選べるので、ハイスタッド(天上高2700~3000)の場合でもバッ トジョイントなしで貼ることも出来ます。この場合も同様、開口横にジョイントをもってこない事と、床から少し持ち上げるのは同じです。
ボード貼りが確実に出来れば、ドライウォール工法の50%は、出来たといっても良いと思います。
ジョイント処理が違う
ジョイント処理ではジョイントテープ(紙テープ)とテーピングコンパウンドでのテーピング、トッピングコンパウンド(パテ)で処理します。(通常クロス下地ではテープは貼らない)
このテープがうまくテーパーのくぼみに収まり、ジョイント部のもりあがりをなくします。
特にペイント仕上げでは、下地に左右されますので仕上がりの良し悪しはジョイント処理で決まります。
ボードのジョイント部すべてとインサイドコーナー(入隅部)部も、もちろん天井と壁の取り合い部もすべてテーピングを施します。
アウトサイドコーナー(出隅部)にはコーナービード という金物やプラスティック製のビードを取付け、これで出隅部の補強をします。
こうして強くて気密性の高い大壁が出来るのです。
工程が違う
日本の在来工法では塗装屋・クロス屋・左官屋さんのような仕上業者は、造作大工さんがすべて終わってからボードのジョイント下地に入って行きます。
廻り縁、幅木、ケーシングさらに極端なことを言えば造作家具やキッチンキャビネット、棚板などがすべて取り付けた後になってしまいます。
要するにすべてが取り付けられて見え掛かり部分だけにしかドライウォール下地を行うことが出来ない状態なのです。
これではドライウォールの本来のよさ、強くて気密性の高い大壁は半減してしまいます。
ドライウォール工法は、ボードが貼られて、何も飾りのないボードだけの状態でテーピングによって天上と壁を一つの箱にしなくてはドライウォール工法とは言えないのです。
勘違い
なぜ日本では、このような工程になるのでしょう?
なぜなら日本ではドライウォールをペンキ塗りの壁と認識しているところがあるからです。
塗装は保護と美化が目的です、特に内部は美化が主体です。
だれも家具が取付けられて見えなくなる所まで塗装はしないですから。
ドライウォールはペイントではありません。
北米でドライウォールとは石膏ボードのことです。この石膏ボードがなぜ日本ではペンキ塗りの壁になったのでしょうか?
北米でドライウォール下地にペンキ塗りが多いのでそうなったと思いますが、この考え方を変えなくては本来のドライウォールはありえません。
・ ドライウォール工法=石膏ボードの種類・ボードの貼り方・ジョイント処理の工法
・ ドライウォーラー=ボード貼り職
・ ドライウォールフィニッシャー=ジョイント処理職
・ ペインター=塗装職